こんにちは、福田栗作(@kurisakunchi)です。このブログでは注文住宅や雨水タンクに関する話題についてユーザー目線で解説しています。

雨水タンクを買いたいけどボウフラや蚊が発生しそうで不安…
雨水タンクの天敵「ボウフラ」。購入したものの発生したらどうしようって不安に思いますよね。発生しても生態がわかっていれば対処法もわかるし、そもそも発生させない方法も見えてきます。ボウフラから雨水タンクを守るにはどうしたらいいかを解説します。
この記事でわかること
- 蚊、ボウフラの生態。2週間で成虫になるから大量発生する
- ボウフラを発生させないためにできること。銅は避けたほうがいいかもという理由。
- ボウフラが発生したときの対処法。食用洗剤や殺虫剤を避けたほうがいい理由。
ボウフラ の生態は?
そもそもボウフラとは?
蚊の幼虫で、漢字で書くと「孑孑」。水面にプカプカ浮いているのはお尻から呼吸するためで、天敵がきたりすると潜って身を潜めるんです。
蚊の種類によってどこに産卵するか、ボウフラ時代に何を食べるかが異なる。実は水中の微生物や有機物を食べる種類もいて、水質をきれいにしてくれる益虫。色々な水辺の生き物のエサにもなるので生物界にはなくてはならない存在なんです※1。
でも、成長すると蚊になるのでやっぱ発生してほしくないのが本音。そんな蚊の一生をまとめてみました※2。

血を吸うのはメスだけで、血を吸うことで卵巣が発育して繁殖できるようになります。だから蚊にとって命がけでも血を吸うのは子孫を残すために絶対必要なんですね。でも見つけたら殺すんですが…。
ボウフラ が発生する条件は?
蚊の繁殖期間は地域によって異なる※3ので表にまとめてみました。
地域 | 繁殖期間 |
北海道の中部・北部 | 6月~9月 |
北海道南部および東北 | 5月~10月 |
関東北部および甲信越 | 4月~10月 |
西日本の暖地 | 3月~11月 |
九州・四国の南部 | 3月~11月(12月) |
暖かい地域ほど長い期間、蚊に悩まされるわけですね。私、福岡在住なので悲報過ぎます。
また、生まれたボウフラは平均気温10度以上で発育・生存していき、水温が25度以上が成長しやすい時期とされています。ボウフラの身体は小さく水流があると流されるのでエサがうまく食べられないという特徴もあります。そういう意味ではメダカや水生昆虫などの天敵もいない、ご飯は食べ放題、水の流れがない雨水タンクって最高の環境かもしれませんね。
雨水は海水や川の水が蒸発してできた水なのになぜ有機物があるか疑問に思った方には、雨水タンク内の水が腐る理由についてまとめた記事もありますので、合わせてご覧ください。
ボウフラ が発生するとどうなる?
図で示した通り、ボウフラは生まれてからめちゃくちゃ短いスパンで蚊になります。だいたい2週間。
しかも卵の数が多いし、雨水タンク内はボウフラが育つには最高の環境なので爆発的に増えます。
蚊が増えたら自分たちが刺されるだけじゃなく、ご近所さんにも迷惑がかかります。また、デング熱やマラリア、日本脳炎などの感染症を媒介する存在でもあるので、最悪の場合、ご自宅の雨水タンクが感染症をまん延させる原因になる可能性もあります。
ボウフラ、蚊の大量発生をさせないにこしたことはないですね。
雨水タンク利用者を対象にアンケートを行いました。38人の方からボウフラを発生させたことがあるか発生した理由や発生させないための対策などを聞いてみた結果は以下の通りでした。

回答数 | |
ある | 11 |
ない | 27 |
ボウフラが発生したことがあると答えたのは約3分の1。結構多いと感じますか?
ボウフラの発生のほかに清掃のひん度や後悔などを聞いています。気になるかたは合わせて御覧ください。
雨水タンク に ボウフラ を発生させないためには
密閉構造の雨水タンクを購入する
市販の雨水タンクのほとんどが密閉構造、スキマがないタイプのタンクです。なのでちゃんと説明書通りに設置すれば蚊が入り込めなくなります。
設置するときに気をつけるポイントは、雨樋を切って集水器を取り付けるとき。雨樋に取り付ける集水器の切り方を間違えてスキマができてしまうと蚊が入り込む可能性がでてきます。
設置後もフタを開けっ放しにしたりすると入ってきちゃいます。また、あふれた水を捨てるオーバーフロー管の付いているタンクの場合、管を通って入ってくる可能性もあるのでネットやフィルターを取り付けてタンク内に侵入させないようにしましょう。
実際に市販のタンク(コダマ樹脂工業さんのホームダム)を1年以上使った結果をレビューしています。興味があればこちらも御覧ください。
貯留槽 の内部に 銅 を入れる
銅イオンの濃度が高いとボウフラは成長しにくくなったり、成長せずに死んだりします。お墓の花立てに十円玉を入れたりしているのも、銅イオンの効果を利用しているから。タンク内に銅を入れるというのもメジャーな対策方法として紹介されています。
ただ、銅イオンを使った蚊の発生予防について論文とか読み込んで調べたら懸念点があったのでサッと紹介します。
懸念点は2つ。
1つが雨水タンクの水量で蚊の成長を止めるほどの銅イオン濃度にするには大量の銅が必要であること。
もう1つは銅イオンは地中で分解されないので銅イオンを含む水を家庭菜園スペースに与え続けると作物に銅過剰の症状が起きる可能性があるということ。
つまり、ずっと大量の銅をタンク内に入れるのは費用面や作物の影響を考えると現実的ではないという見方もできます。ボウフラ対策で雨水タンクに銅を入れることに関する詳細な解説も興味があれば御覧ください。
雨水タンク に ボウフラ が発生したら?
ボウフラ の殺し方
ボウフラは最初に紹介した通りお尻を水面に出して呼吸しています。油をまくと身体にまとわりついて呼吸できなくなって殺すことができます。とはいえタンクに油をまくのってどうなのかって思いますよね。倒したものの水が汚れないかという不安も出てくると思います。
同様に呼吸をできなくする効果があるものとしては食用洗剤をまくのもありです。が、これも雨水タンクの水を家庭菜園や庭木の水やりに使っている場合、食用洗剤の成分が作物にどんな影響を与えるかわからないので避けておいたほうが良いでしょう。
植物の水やり用につかっている場合はボウフラ用の殺虫剤も避けたほうが無難といえます。
枯れたりしたら災難ですし、使ったことで土が死ぬかもしれないのでやめておきましょう。
オススメの対処法は タンクを空にする
なので、まず、ボウフラが発生したら、タンクを空にしてしまうのが一番手っ取り早いです。水がもったいないと感じるかもしれないけれど、そもそもボウフラ自体を流し捨てて位置から水を貯め直すのがオススメです。
貯める前に一度、タンク内を洗浄してタンクの壁面についた蚊の卵を洗い落とすのは忘れずにやってください。
ヤブカの卵が孵化する条件に「一度、水没すること」があるからです。天敵の少ない小さい水たまりに産んでもボウフラが成長しているときに水たまりが蒸発したら成虫になれないので、水が多いときに孵化させるという生存戦略から「水没」が孵化の条件になっているそうです※4。自然の知恵のお陰で、タンクを空にしても卵が残っていたら水が溜まった段階でボウフラが生まれるので絶対に卵は洗い落としましょう。
蚊 が入り込みそうなスキマをふさぐ
タンク内をきれいにしても、そのまま使っていたらまた蚊に卵を産み付けられてしまうので、対策をしていきましょう。
やるべきことは蚊が入り込みそうな場所にネットやフィルターを設置。集水器や雨水が流れ込むまでにスキマがないか、フタはずれたりしていないかなど注意深くチェックしていってください。
ボウフラ に強い雨水タンクは?
ここからは考察で絶対にそうだとは言えません。ボウフラの生態を考えると、この雨水タンクは他の製品よりもボウフラが発生しにくいかもしれないという内容です。実証実験をして絶対に発生しないといっているものではないので、参考程度に御覧ください。
RainHarvest は仕組み的にボウフラが育ちにくい?
ボウフラの生態として、エサとなる水中の有機物や微生物を食すことで水質をきれいにしてくれる。ボウフラ自体は小さく、水の流れがあるところは苦手という特徴があることがわかりました。
その点を考えると、RainHarvestはボウフラを寄せ付けない構造をしている可能性がある。まず以下の動画を見てみてください。
RainHarvestは雨水が流れ込むと、流れ出て下から上に排水されて水が入れ替わるのが特徴です。
つまり、雨が降るたびに水流が発生してボウフラがエサを食べられない状態にして、雨が止んだら水がきれいになってエサがない状態になっている。ボウフラの成長しにくい環境になっているかもしれません。もちろん雨がずっとふらないとかだと水は入れ替わらないのですが、ある程度の雨がふればボウフラが発生しにくくなる可能性があるのはすごく魅力的ですね。
使わないと水が溜まってよどむという雨水タンクの悩みだけじゃなくて、天敵も寄せ付けない可能性があるとしたら、素直にいいなって思います。
まとめ
- 2週間で成虫になって100~200の卵を生むので発生したら爆発的に増える。
- ボウフラの最良の防ぎ方は密閉構造のタンクを購入すること。
- ボウフラが発生したらタンクを空にして中をきれいに清掃する。
生態がわかればボウフラも少しは怖くなくなるはず。対策と対処法を駆使して、素敵な雨水タンクライフになれば嬉しいです。
まだ、雨水タンクを購入していない方には、コスパランキングやタンク利用者目線でおすすめしたいタンクを紹介してますのでチェックしてみてください。
参考文献
※1:フマキラー「蚊の生物体としての特性とその一生」
※2、3:野村健一「蚊の生態」
※4:大庭伸也「日本の淡水生態系における蚊の生態」
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