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土地探し で知らないと損! 地盤の基礎知識・軟弱地盤を見分けるコツ

土地探し

こんにちは、福田栗作(@kurisakunchi)です。このブログでは注文住宅に関する話題についてユーザー目線で解説しています。

土地探しで軟弱地盤を見分ける方法はあるのかな?

そんな疑問を解決するための軟弱地盤を避けるための小技を注文住宅大好きマンの栗作が紹介していきます。

この記事でわかること

  • 地盤の基礎知識と重要性
  • 予め避けておいたほうが良い土地
  • 地盤を見分ける小技
  • 地盤調査の内容とその必要性

地盤の強い土地、弱い土地の特徴、見分け方を覚えましょう。そして、安全安心な家に近づく第一歩にしましょう。

家づくりで 地盤 が大事な理由

地盤 とは?

1.地面。地殻の表層部。「ーがゆるい」

2.建造物・工作物などを据える基礎となる土地。土台。「家のーを固める」

goo辞書「地盤(じばん)の意味

こう辞書的に書くと分かりづらいですね。施主さんとしては以下の認識でいれば大丈夫です。

地盤とは家やビルなどの建物が建つ土地がどのような成り立ちで、地面の下がどうなっているのかを含めて言い表すもの

地盤が重要な理由

地面の中がどうなっているか、分厚い岩盤があるのか、粘土もあれば砂の粒もあるなのか、砂の粒だけなのかなどなどそれぞれ。数メートル離れただけでも変わってくるのですが、この地面の表層がどうなっているかが家を建てる上でとても重要になってきます。

なぜ重要なのか。家を人に例えてみて考えみましょう。

床のような固い素材の上に座ったら、お尻は痛いけど体が沈むことはないと思います。では、ビーズクッションに座ってみるとどうでしょうか、体がクッションの中に入っていきますよね。座ることが家を建てること、座る場所がその土地、座ったところの素材が地盤と考えてみると、イメージがつきますでしょうか?

つまり、地盤が弱いと建物が地面に沈んだり、傾いたりしてしまうという事態が起こりうるのです。地盤が弱い土地は建てるのに不向きなので、建てた後に家が傾かないように地盤改良が必要になってきます。

また、地震の影響も受けやすくなります。プッチンプリンをのせたお皿を揺らすとプリンがブルンブルン動くの同じように、柔らかい地盤だと地震の揺れもダイレクトに受けやすくなります。地面から家を支えてくれる地盤はとても重要な存在といえるのです。

注意が必要な土地・地盤は

地盤とは「家やビルなどの建物が建つ土地がどのような成り立ちで、深さ10m程度の地面の中がどうなっているのかの総称」の、建物が建つ土地について説明してきました。後半部分を注意が必要な土地と合わせて紹介していきます。

「今いる土地がどのようなにできたか」が地盤を知る上でとても大切になってきます。元は丘だった土地を削って平地にしたのか(切土)、池や沼を埋め立ててできた土地なのか、人工的に埋め立ててできた土地(盛土)なのか、火砕流が冷え固まってできた場所か、川が砂を運んできてできた土地かなどなどその土地の成り立ちによってその土地の土の強度が変わってくるからです。

地盤の観点から要注意な土地

  • 池や湿地など水辺を埋め立てた土地
    • 地盤が弱いとされる泥や水分を大量に含んだ粘土の層や軟らかい砂の層から成り立っている事が多く要注意
  • 盛土でできた土地
    • 地面がしっかり固まっていないケースや固め方が不均一の場合があり地盤が良くない。
  • よう壁付近の土地
    • よう壁が崩れたりした場合、崩落で生まれたスペースに盛土の土が入ることで地盤沈下を引き起こす可能性がある
  • 盛土と切土の境界をまたいで建てる場合
    • 地盤が不均一で、建物にダメージを与える土地

軟弱地盤に家を建てるとどうなる?

この章にはN値という単語が出てきます。地盤の強さ、強度を表す指標です。

土中に鉄の棒に重りを打ち付けて30cm埋まるまでに何回かかったか、打撃の数が「N値」になります。N値6だったら、鉄の棒が30cm埋まるまでに6回打ち付けたといことになります。この数値が大きいほど重さに耐えられる強い地盤であるといわれています。

住宅が沈む(不同沈下)

地盤が弱いと家が沈む、不同沈下が起きると言われてもピンとこないかもしれません。

ここでは実際に地盤の弱い地域という長野県・諏訪湖湖畔(諏訪盆地)で住宅300戸以上を対象とした不同沈下に関する調査※1を紐解いて解説していきます。

諏訪盆地は地表から深さ10mまでN値が1以下の地域も多い全体的に地盤が弱い土地です。この地域にある警察署は最大165cm建物が浮き上がり、卸売市場は建物が浮き上がって階段を設置されました(住宅より重い建物とはいえすごい)。

さて住宅はというと、40mm以下が67%、60mm以上が17%もあったという。さらに比較的新しい建物でも60mm沈んだ例が16%に達した。不同沈下の量と建築年度に相関性はみられなかったという。地盤のN値が不同沈下と密接な関係があり、3未満の場合はかなり不同沈下が生じると結論付けられています。

住んでいる人の意識として、不同沈下が40mmまでは意識しない人が75%と大きく、逆に60mmをコスト意識する人の割合が77%だったそうです。

住んでても傾いていると感じると不安だったり、不便なのでできたら軟弱地盤は避けたいところですよね。

地震が起きたら液状化を受けやすい

液状化とは?

 液状化とは、地震が発生して地盤が強い衝撃を受けると、今まで互いに接して支えあっていた土の粒子がバラバラになり、地盤全体がドロドロの液体のような状態になる現象のことをいいます。

国土交通省「宅地防災:液状化現象について

普段は土の粒子ががっちり結びついて、その間に水を満たして地盤を支えています。しかし強い地震が起きると振動で結びついていた土の粒子がバラされ、砂のような状態に。さらに地盤の中にあった水に土が浮いて地面がドロドロになります。その後、土は地面の下の方に、水分は地上に分離、地盤の沈下や亀裂が発生します。具体的に動画で見てみましょう。

液状化しやすい土地、地盤は?

過去の大きな地震が起きた地域を対象に行われた調査で液状化しやすい土地の共通項目はわかっています※2

  • 地下水位が高く地表面に近い位置にある。
  • 砂層の相対密度が75%より大きく、よく締まった層ではほとんど被害が生じない。
  • 液状化被害が大きい場所は標準貫入試験のN値が25回以下の緩い砂層が圧倒的に多い。
  • 液状化が起こる地震はマグニチュード(M)7.2~8.4、震度5以上。

この他にも砂層の砂の粒度も関係していることがわかっています。この記事の後半でも紹介しいますが家を建てる前の地盤調査では、地下水位やどのような層がある地盤なのかは木にしてみると良いでしょう。

良い地盤かどうかを見分ける小技

地盤が弱そうな土地を見分ける方法を紹介していきます。大事なのはこの方法で調べていっても絶対にその土地が強固な地盤だとは言い切れないという認識は持っておくことです。地面の下のことなのでちゃんと調査しないとどうなっているのかわからないからです。少しでも軟弱地盤を避ける可能性を上げるためにできることとして紹介していきます。

ネットで調べる

国土地理院のHPから古地図や地形データを参照するのがお薦めです

湿地だったかどうか知る方法

明治期の湿地データを閲覧すると都市部を中心に一部の地域で過去、どのような土地だったかを知ることができます。例えば、福岡県・小倉駅近辺を見てみましょう。

上が何もない状態で下が湿地データを取り込んだもの(左下の「明治期の低湿地」をクリックすると表示が変わります)。黄色が田んぼ、青が干潟・砂浜を表しているのですが、駅周辺に田んぼが広く広がっていて、北側が埋め立て地であることがわかります。

色の意味などを知りたい場合は、「明治期の低湿地」の右側の「i」マークをクリック→「凡例を表示」で見ることができます。

切土か盛土かを調べる方法

左カラムから「地形分類(ベクトタイル提供実験)」を選択し、人工地形を押してみると、地図が新たに色分けされていきます。試しに兵庫県明石市と神戸市垂水区を表示してみました。

濃いピンクが「盛土」、薄い青が「盛土」の土地を表しています。明石市の海側は地盤的には弱く、神戸市垂水区は地盤的に強地域が多そうだとわかります。また、自然地形を調べればもともとの土地の成り立ちも把握することができます。

このほかには過去の航空写真などのデータがあるので、見比べてみると土地の成り立ちが把握できるのでお薦めです。

また、こちらの地盤調査会社「ジャパンホームシールド」が公開している地図データも有用です。標高、地形、地質、地震時の揺れやすさや土砂災害の可能性などが見ることができるので、気になる土地の地形を把握。その地形の地盤の強弱を調べていけば家を建てようとしている土地の地盤の強さを調べる事ができます。

地名を調べる

地名はその土地の成り立ちに由来することが多いので、地名が地盤の特徴を言い表している可能性があります。

「田」「稲」「窪」「久保」「沢」「浦」「川」「沼」「津」など水や農耕に関連する地名は軟弱地盤の可能性が高いと言われています。

逆に「高」「丘」「山」「森」「上」などの台地や山、丘に関連する地名は強固な地盤が高くなります。

ただ、地名自体が変わることがあるので注意が必要です。過去に2014年の広島で起きた土砂災害では、旧地名が「八木蛇落地悪谷」だったのが、八木地区と変わっていたというニュースは大きな反響を呼びました。再開発された地区、平成の大合併で地区の表記が変わった場所などもあるので、そういった場合は旧地名も見てましょう。

地名変更された土地に対して有効なのが「バス停の名前をチェック」です。名古屋大学大学院での研究を紹介します※3。バス停にした理由は「初めの名称が変わるケースがあまりなく、住民になじんだ通称地名がつけられることもある」からだそうです。

研究では以下の地盤目線で特定の漢字を「良好分類文字」か「軟弱分類文字」かに分けて東京23区、大阪市、名古屋市で調査。50mメッシュの地盤データがある名古屋市では「良好地盤地名が良好地盤上
にある割合は 72%(226/314)、軟弱地盤地名が軟弱地盤上にある割合は 65.5%(378/577)」でバス停名の地名と地形に結びつきがあるとされています。

研究中で分類された漢字は以下の通りです。

良好分類文字

  • 「山」「尾」「根」「岳」「峰」「獄」「嶺」(山地の地形を表す)
  • 「岡」「丘」「台」「坂上」(台地の地形)
  • 「坂」「阪」(傾斜地の地形)
  • 「岩」「磐」(地質)
  • 「森」「林」(森林)
  • 「猪」(山の生物)
  • 「曽根」(当て字)
  • 「高」「上」(高低)

軟弱分類文字

  • 「崎」「岬」(みさきの地形)
  • 「浜」「洲」「州」「潟」(海岸・海の地形)
  • 「島」「岸」「淵」(水辺の地形)
  • 「入」「浦」(入江の地形)
  • 「谷」「窪」「袋」「湫」「坂下」(窪地・谷地・低湿地の地形)
  • 「川」「河」「江」「瀬」「沢」「渓」(河川)
  • 「池」「沼」(湖沼)
  • 「堤」「橋」「船」「津」「港」「井」「舟」「堰」「渠」「田」(人工物)※水にかかわるもの
  • 「砂」「泥」「巌」「瀉」(地質)
  • 「萩」「蓮」「竹」「蒲」「荻」「芦」「菅」「葦」「葭」「蘆」(水辺の植物)
  • 「稲」(農作物)
  • 「鶴」「鴻」「鴨」「鷺」「鵜」「鵠」「雁」「鴇」「鷭」「鳰」(水鳥)
  • 「貝」「亀」「魚」(水生生物)
  • 「矢(谷)」「久保(窪)」「久手(湫)」「梅(埋)」「須(洲・州)」「須賀(洲処・州処)」「須加(洲処・州処)」「渕(淵)」「縁(淵)」「圦(入)」「杁(入)」「露(潰ゆ)」(当て字)※丸カッコ内が元の字
  • 下(高低)
  • 「潮」「汐」(現象)
  • 「渡」「浅」「深」(水が関わる状態)

バス停をチェックするのも一つの手をいえます。

土地の現地確認のときに周辺を観察する

土地を現地で見に行ったときに周辺を気をつけて見るのも手です。

  • 電柱が傾いていないか
  • 周辺の住宅の基礎がひび割れたりしていないか
  • 道路が波打ってないか
  • 通行車両の制限(重量制限)がないか

沈下が実際に周辺で起きている場合、その土地の地盤も弱い可能性があります。電柱や隣家の基礎を見ることで軟弱地盤を回避できます。また、地盤が弱いところでは通行車両の重量制限がかけられていることがあるので、見つけた場合は注意が必要になります。

地盤調査で何をやる? 必要性は?

良い土地を見つけたら地盤調査もできれば行いましょう。

地盤調査でやること

一般の住宅でよく行われるのは「スウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)」という調査です。

重りのついた先端がスクリュー状の鉄の棒を地面に打ち込んで止まったところから、棒を回転させてねじ込んで回転数を測ることで、地盤の強度を調べていきます。

家が建つ予定の四隅と中心部の5箇所を測り、1日で作業が完了します。

地盤調査が必要な理由

軟弱地盤を避けようと色々調べた土地でも、地盤調査を行うのをおすすめします。地面の下がどうなっているかは調査しないとわからないのと、家が建ってから調査するのは困難だからです。せっかくの人生で一番高い買い物のであるマイホームが長く住まないうちに傾いたり、住めなくなったりしたらとても悲しいと思います。暮らしてからの不安を減らすという意味でもぜひやっておきましょう。

地盤調査で軟弱地盤とわかったら

家を建てるのに適さないため、地盤改良が必要になります。地盤の強度にもよるのですが、数十万~数百万円がかかるのですが、家を建てるためには避けて通れない道です。

ユーザーとして絶対に知っておいたほうがいいことは、地盤改良は値段が高ければ高いほど良いというわけではないということです。その土地にあった工法を行えば済む話なので、地盤改良に関してやたらコストの掛かる工法を見積もりに入れてきたなど不審な点があった場合は、別の会社に相談するといった対処が必要になってきます。

まとめ

  • 地盤は家を建てる上で極めて重要
  • 盛土や水辺だった土地は地盤が弱い可能性が高い
  • 国土地理院のHPをフル活用すると土地の成り立ちがおおよそ分かり軟弱地盤の土地を選ぶ可能性が減る
  • どのような土地を選んだとしても地盤調査はしておいたほうが良い

地盤は自然の建材とも言われるほど、家を建てる上で重要なファクターです。弱い地盤を放置して家を建てればしっぺ返しを数年後に来ます。軟弱地盤を避ける、軟弱地盤だった場合は地盤改良をして、安全安心な家づくりをしていきましょう。

この他にも騒音で公開しないためのコツも紹介しております!もしよかったら御覧ください。

参考文献

※1:田村昌仁「軟弱地盤における住宅の不同沈下

※2:柴田徹「軟弱地盤の液状化災害

※3:河合真梨子「地震ハザードの説明力向上のための地名活用とその効果に関する研究

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