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雨水タンク ボウフラ対策に銅、効果は? 注意点や使い方を紹介

雨水タンク

こんにちは、福田栗作(@kurisakunchi)です。このブログでは注文住宅や雨水タンクに関する話題についてユーザー目線で解説しています。

雨水タンクに銅を入れたらボウフラを退治できるのかな…。

銅がボウフラに有効というのはよく聞くものの実際のところどうかわからず、雨水タンクに銅線や銅板を入れるべきか迷いますよね。きょうはその点について解説していきたいと思います。

この記事でわかること

  • どれくらいの濃度だとボウフラの成長に影響を与えるか。
  • その濃度を保つために必要な銅の量は?
  • 銅と植物の関係。

銅をうまく使ってボウフラに悩まされない快適な雨水タンクライフを送りしましょう!

そもそもボウフラの生態などを知りたい方は、生態から考える対処法やボウフラ発生の防ぎ方を解説した記事もありますので、あわせて御覧ください。

どれくらいボウフラは発生する?

雨水タンク利用者を対象にアンケートを行いました。38人の方からボウフラを発生させたことがあるか、発生した理由や発生させないための対策などを聞いてみた結果は以下の通りでした。

 回答数
ある11
ない27

ボウフラが発生したことがあると答えたのは約3分の1。結構多いと感じますか? 

ボウフラの発生のほかに清掃のひん度や後悔などを聞いています。気になるかたは合わせて御覧ください。

雨水タンク 銅線や銅板を入れるメリット

銅を水中に入れると銅イオンが発生します。水中に溶け出した銅イオンはどのような効果があるのかをまず解説していきます。

銅イオンの効果

銅イオンには抗菌効果があって、大腸菌やO-157、インフルエンザ、ノロなどの増殖を抑える働きがあります。銀イオンにも同様の効果があるけど、銅のほうが抗菌効果は断然強いそうです。

台所の排水溝に銅製品を置くとぬめりが抑えられる効果も認められていて、病院のドアの取っ手部分に銅合金を採用されたり、住宅設備に銅の配管が使われたり、様々なところで活躍しています。

実際に2008年3月にはアメリカの環境保護庁(EPA)が「銅には病原体を殺菌し、公衆衛生に効果がある」という表示をしてもよいと認めています。国レベルでお墨付きをもらっている素材なのですね。

銅イオンがボウフラに効果があるのか

では、細菌には効果があるけど、ボウフラには効果があるの?と疑問にお思いますよね。

結論からいうと、銅イオンはボウフラに対して効果があります。実際の文献から紹介しましょう。

ネッタイシマカが卵から孵化(脱蛹)する期間について比較検討されている。水道水では7日後に羽化が認められ、8日後には40%、16日後には80%が羽化していた。一方銅イオンが0.32ppm溶解した水では8日後に羽化が認められたが11日目まで羽化率は10%以下に抑制された。しかし、その後急上昇し15日後には80%を超えていた。さらに銅イオンが3.2ppm溶解した水では15日後まで羽化は認められず、24日後でも羽化率は20%に留まっていた。

土井久也、小西英二、松尾博哉著「銅イオンによるデングコントロールの費用対効果:インドネシアにおける試算の一例

ppmは濃度を表してます。水溶液の場合1リットル当り何ミリグラム、成分が含まれているかがわかります。1ppmなら1mgとざっくり覚えておきましょう。

濃度によるものの銅イオンはボウフラの成長を阻害したり、死なせたりすると言われています。この効果を期待して、お墓の花立てに十円玉入れたり、銅製のものが使われたりもしてますね。

効果的な銅の入れ方は?

銅は何を入れると良い?

銅板、銅線、銅ファイバー(繊維)を水に入れ、殺菌効果を比べた実験では、銅ファイバーが1番効果がありました。水に入れて8時間後の銅の濃度も銅ファイバーがダントツで282μg/l、銅板が15μg/l、銅線が67μg/lでした。

いっぽうで「銅ファイバー」や「銅繊維」でネット検索しても銅繊維を編み込んだ商品ばかり紹介されており、そのものの入手先は見つけられませんでした。代替案としては純銅のたわしかもしれせんが、雨水タンクの貯水量に見合う量となると大量に購入する必要に迫られそうで現実的ではないかもしれません。銅板よりも銅が溶け出しやすい銅線を購入するのがおすすめです。

どれぐらい必要か

前出の土井久也、小西英二、松尾博哉著「銅イオンによるデングコントロールの費用対効果:インドネシアにおける試算の一例」を紐解きながら考察していきます。

先ほど紹介した銅イオンの濃度とボウフラの関係は大事なので改めてまとめました。

  • 銅イオンが0.32ppm溶解した水では7日間はボウフラが羽化しない。
  • 銅イオン0.32ppmの水では11日目まで羽化率は10%以下だが、15日後には80%超えた。
  • 3.2ppmの水では15日後まで羽化はなく、24日後も羽化率は20%だった。

水200mlに銅ファイバー4.5g投入すると1日0.26mgの銅イオンが放出されることもわかりました。また、論文では533gの銅ファイバーが毎日96.2リットルの水を0.32ppmにすることが可能であるとしています。

ただ、銅ファイバーは一般人には入手しにくいのが難点。そこで、「銅は何を入れると良い?」の項目で溶け出した量を比較してみると、銅ファイバーは銅線の4倍溶けていることがわかります。つまりおおよそ2,212gの銅線なら水96.2リットルの水を0.32ppmにすることができる可能性があると考えられます

100リットルの小型タンクを一週間~10日で使い切れるなら、2キロの銅線を沈めれば、ボウフラが発生にくいともいえるかもしれませんね。ただ、銅線2キロ買うよりそもそも蚊の侵入経路を網でふさいでしまったほうがコスパがいいでしょう。

特にホームダムなどの200リットル以上の中型タンクや大型タンクで考えるとかなりの銅線が必要になる、1週間から10日で水を使いきれるか問題が発生するので少し現実的ではないように感じます。

銅と植物の関係は?

雨水タンクに溜まった水の使いみちとして家庭菜園やガーデニング用にと考える方も多いと思います。銅が植物に与える影響も解説していきます。

銅は植物にとっても大事な栄養元素

植物にとって銅は「必須微量元素」と呼ばれる生育に不可欠な元素の1つです。葉緑体(光合成を行う細胞)に多く含まれ、植物が呼吸するのに重要な役割を担ってます。傷ついた植物が自分を治す酵素にも関連があるといわれています。植物の成長に必要な栄養素です。

銅が不足すると葉の先が白っぽくなったり、葉っぱ自体が折れ曲がったりする「銅欠乏」という症状が現れます。なお銅欠乏はほとんどの土壌で起きにくいとも言われています。

ナメクジ避けの効果がある

作物の葉をかじるナメクジ。あいつらは銅が苦手です。銅板の上は通らないので、しいたけ(ナメクジの好物)の原木栽培で銅板を使ってナメクジの食害を防ぐ人もいるそうです。余談ですが私もシイタケの原木栽培しているのですが、銅はつかってないですね、、、とはいえ、銅イオンが含まれる水を土にまいたらナメクジは避けるのか?

銅イオンが含まれる土壌はナメクジが好むか、調査した文献を見つけました。結果を紹介します。

実験の概要

  • 土を6区画に分けて、銅イオンの濃度0、5、10、30、40、80mg/lの硫酸銅水溶液を500mlそれぞれ加える。
  • ナメクジを3匹ずつ放す。
  • 1時間後、2時間後にどの区画に何匹いるか調べる。

実験で死んだ個体はいなかった。ナメクジ18匹のうち、0mg/lの区画に7匹が集中した。他の区画では1~3匹に留まった。1番、濃度が高い区画には1時間後も2時間後も1匹しかいなかった。

調査では、土壌への銅剤の散布や混和によるナメクジ防除の可能性を示していると結論づけています。

ナメクジに悩む人は朗報ともいえそうですね。

でも、過多は植物に悪影響

鉄分より銅の方を吸収する性質があるので、銅が多いと「鉄欠乏」の症状を引き起こすことが知られています。また、銅が過剰だと根の成長を阻害することもわかっております。

メロンで起きた場合の対策を島根県農業技術センターが紹介しているので参考までに引用します。

石灰質資材を施用し土壌のpHを7程度まで矯正すればある程度障害の発生を抑えることができる。

土壌の銅濃度が極めて高い場合は、作土を入れ替えるか客土等によって希釈し銅含量を下げるなどの土木工事が必要である。

島根県農業技術センター「銅過剰症(Cu過剰症)

多量の銅イオンが含まれる水を常に与えるのは、土ごと取っ替えるリスクがあるかもしれませんね。

結局、銅は入れるべき? 入れないほうがいい?

これは調べてみてどうするか私見です。

  • ボウフラだけでなく水の浄化作用もある銅は使いたい。
  • ナメクジ防除になりうるのも素敵。
  • ホームダム250リットルを2つ使用。
  • 本気でボウフラを避けるなら銅線8kg以上が必要か。
  • 10日以内に500リットルを使い切れるほど菜園スペースは広くない。
  • 常に銅イオンを含む水を与えたら銅過剰症になるリスクがあるのではないか。

この点を総合すると、水をきれいにする目的で純銅のたわしを複数個放り込んで置くのがいいように思えてきました。ただし水を多く必要としなくなる秋~冬にかけては、銅を抜いたほうが良さそうですね。ボウフラは大量に発生したら蚊の侵入経路をふさぐなどの対策を考えていこうと思います。

もしくは掃除をこまめにするかが無難のように感じました。掃除・メンテナンスの仕方をまとめた記事もありますので、興味あれば御覧ください。

まとめ

  • 銅はボウフラに効く。
  • ただし、雨水タンクの水量によっては大量の銅線が数キロ必要になる。
  • 銅は植物に必要だが与えすぎると悪影響を及ぼす。

細菌やボウフラ、ナメクジに効くし、植物の栄養素にもなる銅ってすごいですね。でも銅が過剰になるといいことなしなので、バランスが必要そうに感じました。

タンクにボウフラが発生することにお悩みの方は検討の余地がありそうですね。

ホームダムを1年使ってボウフラはどうなのかなどの実際を紹介した記事もあります。また、ボウフラだけでなく雨水タンクに関するお役立ち情報をまとめた記事もありますのであわせてご覧くください。

雨水タンクの水質が気になる人向けに雨水タンクの水は腐るのかを解説してみました。ご興味があれば御覧ください。

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