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雨水タンクに貯めた水は腐らないって本当? 内部の水が腐る原因と対策

雨水タンク

こんにちは、福田栗作(@kurisakunchi)です。このブログでは注文住宅や雨水タンクに関する話題についてユーザー目線で解説しています。

雨水タンク内の水が腐ったりしないだろうか…

雨水タンクに貯めた水が腐ってしまわないかって気になりますよね。腐った水を家庭菜園や洗車に使ったりするのも気持ち悪いですし、腐らないことに越したことはないけど、実際はどうか。今回は雨水タンク内の水が腐るのかどうかを解説・検討していきます。

この記事でわかること

  • そもそも「水が腐る」とは?
  • 雨水が腐らないといわれる理由
  • 雨水タンク内の水が腐る可能性と原因

そもそも「水が腐る」とは?

「水が腐る」というのはどういう状態か、調べてみたものの定義付けられてはいませんでした。なのでここでは以下の2つの状態いずれかになったら「水が腐った」としています。

  • 藻が発生している
  • 白くにごるなど透明ではない状態

どちらも飲んだらお腹を壊したり体調不良になりそうな水なので、「腐った」としています。

水はなぜ腐る?

そもそも純粋な水自体は腐りません。不純物がない精製水は無機質なので腐ることはないということですね。

ただ、実生活で精製水を用意するってかなり難しい。ミネラル成分や塩素、微生物などを除去された水道水でも精製水とは言えません。純度が高いものの、汲み置きしたものは数日以内に飲むように各地の水道局で推奨しています。

身の回りにある川などの水は不純物があるので、流れずに留まっていると細菌、雑菌など繁殖する、結果として「水が腐る」状態になってしまいます

雨水はなぜ腐らない?

雨が降る仕組み

ざっくり雨の降る仕組みを下の図にまとめました。

雨の大本は川や海などから蒸発した水。つまり「蒸留水」です。

蒸留水(じょうりゅうすい)とは、水を加熱などによっていったん沸騰させて気体の水蒸気にしてから、それを別の場所で冷却して液体に戻した純水(純度の高い水)。

Wikipedia「蒸留水

雨水の場合、「別の場所で冷却」が上空ということになります。雨水は「大自然が生んだ蒸留水」で不純物(特に有機物)がほとんどない純度の高い水といえそうです。なので、雨水自体は腐りにくことがわかります。

腐らない雨水、なぜ雨水タンクで腐る?

個人住宅の家雨水貯留槽の水質分析した結果は…

2015年2月に開催された「滋賀県 第8回流域治水シンポジウム」で使われた雨水タンクに関する発表資料を見つけました。2013年5月~2014年12月に18回、雨水タンクの水を水質調査した内容がまとめられてます。

水質調査の結果は雨水タンク内の水で1mlあたり、0~780個の細菌が見つかり、18回中1回だけ大腸菌も検出されました。細菌の平均個数は114.3、中央値は44.5でした。臭気や色度、濁度は水道法の水質基準に触れるものはなかったという結果でした。

TOCは有機物の量を表していて、有機物がある=細菌がいた場合の餌になる可能性があるということですね。水道水質基準では5mg/l以下とするよう定められていますが、最大でも1.5以下なので水道水の基準に適合していることになります。詳細を表にまとめてみました。詳しくは上記のリンク先から確認してみてください。

一般細菌
個/ml
大腸菌TOC
mg/l
臭気色度濁度
2013/5/2130不検出0.8異常なし20.5
2013/6/24190不検出1.5異常なし1未満0.5未満
2013/7/16780不検出0.5異常なし1未満0.5未満
2013/8/230不検出1.2異常なし1未満0.5未満
2013/9/1792検出0.5異常なし1未満0.5未満
2013/10/1579不検出0.3異常なし1未満0.5未満
2013/11/1968不検出0.3異常なし1未満0.5未満
2013/12/170不検出0.4異常なし1未満0.5未満
2014/1/210不検出0.3異常なし10.5未満
2014/2/180不検出0.6異常なし1未満0.5未満
2014/3/1849不検出0.3異常なし20.5未満
2014/4/150不検出0.4異常なし20.5未満
2014/5/2030不検出0.4異常なし1未満0.5未満
2014/6/17100不検出0.3異常なし1未満0.5未満
2014/8/19280不検出0.4異常なし1未満0.5未満
2014/9/1640不検出0.5異常なし20.5未満
2014/10/21320不検出0.3異常なし1未満0.5未満
2014/12/160不検出0.3異常なし1未満0.5未満
赤文字は水道法の水質基準に不適合の結果

調査したお宅については、雨水の滞留時間は比較的長いものの、雨樋に取り付けられた取水装置の初期雨水カット機能により、水質は維持され長期貯留による水質悪化は認められないと結論付けています。

さすが腐りにくい雨水ですね。

一方で一般的な集水器には「初期雨水カット」機能がついていないものがほとんど。屋根の汚れを含んだ水、雑菌や不純物の多い水になってしまうのでこの調査結果よりも水質は悪くなると考えられます。大阪府内の10ヶ所で雨水タンクの水質を測定したところ、無色から薄い黄緑色のまでさまざま。水質自体はきれいな川の水質と比べても比較的良好だったという結果でした

水が腐る要因と対策

普通に雨水をためた場合、水質悪化が起きる可能性があるとも言えます。水が腐る要因をまとめてました。

  1. 屋根や雨樋、集水器のフィルターに枯れ葉や動物・虫の死骸などがある。
  2. 風に飛ばされた藻の胞子がタンク内に入ってしまう。
  3. タンク内の水を長期間、使わずにおく。

雨水は不純物が少ない水ですが、1のように雨水が流れ込むルートにごみなどがあると有機物が水に溶けだしてしまいます。有機物が増えると細菌や雑菌の餌が増えることにもなるので、水質が悪化してします。対策としては、集水器のフィルターをこまめに掃除しましょう私個人でアンケート調査を行なってみたところ、38人中26人が雨水タンクの清掃を「半年に1度はしている」と答えていました

水が緑色になる正体は「アオコ(ラン藻)」です。環境省のまとめた「アオコって何?」によると、移動手段の一つは風(気流)とされています。水しぶきが舞い上がり、風で飛ばされて移動していく。アオコが発生した貯水池から1km離れた場所に空のビンにしばらく置くと、ビン内からアオコが検出されたという研究もあります。アオコが発生している水源がある場合、風に飛ばされて屋根や雨樋に付着すし、雨が降って流れ込んでくると考えられそうです。アオコは光が入らなければ増殖を抑えられるので密閉性の高いタンクを使うを徹底しましょう

長い間水を使わずに置いていると細菌が増えたり、何らかの原因で藻が光合成で増えたりしてしまうので、水質悪化につながってしまいますね。また、水の中の有機物や微生物はボウフラのエサになります。もし蚊に卵を産み付けられた場合、成長する要因にもなるので、定期的にタンク内の水を使用したり、水を抜いて中を掃除したりしてキレイに保ちましょう

メンテナンスのタイミングや方法のまとめ蚊・ボウフラの生態か考える発生の防ぎ方や対処法も紹介しています。もし興味がございましたら御覧ください。

水質が気になる人向けのタンクは?

雨水タンク「ホームダム」愛用者目線でオススメのタンクを紹介した記事でも登場した「レインハーベスト」です。通常の雨水タンクはタンクが満杯になったらそれ以上は水が入ってこない仕組みになっています(オーバーフローしているタンクは別)。

冬場の植物に水やりをする必要が少ない時期など、タンクが満杯になったあとに雨水を利用する機会が少ない場合、使われずに同じ水がタンク内に長期間あるという状態になってしまうのがほとんどの雨水タンク。これをタンク内の構造に変化をつけることで、雨が降ったら自動で水が入れ替わる用にしたのがレインハーベストです。

つまり雨が降れば中の水が変わるので水質が良い状態を保てるということになります。いつも水質の良い水を使いたい人にはレインハーベスト一択といえますね

レインハーベストは構造上、中に泥などがたまらないようになっているのも

まとめ

  • 雨水自体は蒸留水なので腐りにくい。
  • 初期雨水カット機能がついている集水器なら水質は比較的良好になる。
  • ない場合は腐る要因のごみをこまめに除去して、タンクの水をよく使うように心がける。
  • 仕組みで腐らせないには「レインハーベスト」がイチオシ。

雨水自体は腐りにくいし、腐る要因を取り除く、水をよく使えばタンク内に腐った水が溜まっているという状態は防げるといえそうです。対策を心がけてきれいな水を気持ち良く使っていきましょう。

水質関連の話題では、銅を入れることはボウフラ対策になるかを検討した記事もあります。こちらもあわせてみてもらえたら嬉しいです。

このほかにも設置にかかる費用やオススメアイテム、補助金などについてお役立ち情報をまとめています。雨水タンクに関する疑問を解消する内容ですので、もしよかったら御覧ください。

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